JOURNAL / HYALURONIC ACID
ほうれい線のヒアルロン酸は危険?
血管塞栓・失明のリスクを解説
「ほうれい線には大きな血管があるから、
ヒアルロン酸を入れるのは危険」
「ヒアルロン酸で失明することがある」
そんな話を聞いて、心配になったことがある方もいるかもしれません。
先に結論
リスクは、ゼロではありません。
でも、「ほうれい線ヒアル=危険な治療」と
単純に考えるのも少し違います。
ヒアルロン酸注入では、非常にまれですが、 ヒアルロン酸が血管内に入るなどして血流が妨げられる 「血管閉塞」が起こることがあります。
そして、ほうれい線の近くには顔面動脈が走っています。
だからこそ大切なのは、 「危険だからやらない」と考えることでも、 「よく行われている治療だから大丈夫」と考えることでもありません。
今回は、ほうれい線の血管解剖と実際に報告されている血管閉塞の頻度、 そして「カニューレなら安全なのか?」という疑問まで、 論文をもとに考えてみます。
ほうれい線のヒアルロン酸注入で、 まず知っておきたいのが顔面動脈です。
顔面動脈は下顎のあたりから顔面に入り、 口角、鼻の横へと上がっていきます。
つまり、ほうれい線にヒアルロン酸を注入するときには、 この血管との位置関係を考える必要があります。
ただし、ここが重要です。
顔面動脈は、 全員が同じ場所を走っているわけではありません。
02
VASCULAR OCCLUSION
ヒアルロン酸の「血管閉塞」とは?
ヒアルロン酸注入で問題になる重大な合併症のひとつが、 血管閉塞です。
血管閉塞とは、その名前の通り、 血管の中を流れている血液が何らかの原因で流れにくくなったり、 流れなくなったりする状態です。
ヒアルロン酸注入では、 ヒアルロン酸が血管内に入るなどして血流が妨げられることで、 その先の組織に十分な血液が届かなくなることがあります。
WHAT HAPPENS?
血管内にヒアルロン酸が入るなどして、血流が妨げられる
その先の組織に、十分な血液や酸素が届かなくなる
皮膚の虚血が起こり、重症の場合には皮膚壊死につながることがある
血管閉塞が起こった場合には、 痛みや皮膚の色調変化などがみられることがあります。
そして顔には、多くの血管が互いにつながりながら走っています。
そのため非常にまれではありますが、 フィラー注入後の血管閉塞によって 視力障害や失明に至った症例も報告されています。
ここまで読むと、 「ほうれい線にヒアルロン酸を入れるのは、かなり危険なのでは?」 と感じるかもしれません。
では実際に、血管閉塞はどのくらいの頻度で起こっているのでしょうか。
次は、大規模な調査の数字を見てみましょう。
03
HOW OFTEN?
実際、血管閉塞は
どれくらい起こる?
血管閉塞という重大な合併症があることは分かりました。
では実際には、 どのくらいの頻度で起こっているのでしょうか。
370名の米国皮膚科医を対象に、 過去のフィラー注入と血管閉塞について調べた 大規模な研究があります。
この研究で報告されたフィラー注入は、 約170万シリンジにのぼります。
NEEDLE vs CANNULA
針とカニューレは、何が違う?
ヒアルロン酸を注入するときには、 針とカニューレという 2種類の器具が使われます。
一般的な針は先端が鋭く、 組織を切り開くようにして進みます。
一方、カニューレは先端が丸く、 先端ではなく側面にヒアルロン酸が出る穴があります。 組織を切るというより、 押し分けながら進むような構造です。
この構造の違いから、 カニューレは針よりも血管壁を貫通しにくい と考えられています。
ただし、 「先端が丸いから血管には絶対に入らない」わけではありません。
カニューレでも血管壁を貫通することはあり、 実際にカニューレを使用した注入でも 血管閉塞は報告されています。
WHAT DOES “G” MEAN?
針やカニューレの太さを表す単位「G(ゲージ)」
針やカニューレの太さは、 G(ゲージ)という単位で表されます。
少しややこしいのですが、 数字が小さいほど太く、数字が大きいほど細くなります。
つまり、22Gは25Gより太く、25Gは27Gより太い、という意味です。
HYALURONIC ACID FILLER
ヒアルロン酸による血管閉塞
針
5,727 シリンジに1件
カニューレ
35,023 シリンジに1件
※患者数ではなく、1mLシリンジを単位として集計された後ろ向き研究です。
この研究では、 カニューレによる注入は針による注入と比較して、 血管閉塞のオッズが77.1%低いという結果でした。
つまりカニューレは、 血管閉塞のリスクを低くできる可能性のある器具です。
ただし、カニューレによる血管閉塞も実際に報告されています。
「カニューレを使えば安全」というほど、 単純な話ではありません。
そして、もうひとつ重要な結果があります。
ヒアルロン酸による血管閉塞が報告された部位の中で、
鼻唇溝(ほうれい線)は最も多い部位でした。
針を使ったヒアルロン酸注入で報告された血管閉塞162件のうち、 鼻唇溝で起きたものは39件。
報告された血管閉塞の24.1%を占めています。
数字の読み方には注意が必要です
これは、 「ほうれい線にヒアルロン酸を入れると24.1%で血管閉塞が起こる」 という意味ではありません。
血管閉塞が起きた症例を部位別にみたときに、 鼻唇溝が24.1%を占めていた、という数字です。
そして、ほうれい線は顔面動脈との位置関係から、 血管閉塞を意識して注入する必要のある部位のひとつです。
では、カニューレを使えばどこまで安全になるのでしょうか。
次はさらに一歩踏み込んで、 カニューレの太さと、血管壁を貫通する力 について見てみましょう。
04
CANNULA SIZE
カニューレなら安全?
何Gなら安全?
カニューレは先端が丸いため、 針よりも血管壁を貫通しにくいと考えられています。
では、 太いカニューレを使えば、さらに安全なのでしょうか。
この疑問について、 実際に顔面動脈へカニューレを押し当て、 血管壁を貫通するまでに必要な力を測定した研究があります。
FORCE TO PENETRATE AN ARTERY
血管壁を貫通するために必要だった力
22G
1.50 N
25G
1.04 N
27G
0.78 N
※摘出した顔面動脈・浅側頭動脈などを用いた実験研究であり、 生体内でそのまま同じ力で血管内に入ることを意味する数字ではありません。
この研究では、 カニューレが細くなるほど、 血管壁を貫通するために必要な力が小さくなりました。
さらに27Gでは、 同じ27Gの針との間に、 血管壁を貫通するために必要な力の有意な差が認められませんでした。
「カニューレだから安全」ではなく、
太さによっても血管への入りやすさは変わります。
別の研究では、 ほうれい線付近の顔面動脈を使って、 18G・22G・23G・25G・27Gのカニューレを比較しています。
この実験では、 18Gと22Gのカニューレでは顔面動脈壁を貫通できませんでした。
一方、23G・25G・27Gでは貫通が可能で、 細くなるほど必要な力は小さくなりました。
1.04 Nって、どのくらい?
力の大きさだけを重さに置き換えると、
約100g重に相当します。
ただし、これは実験装置で血管壁を貫通したときの力です。 「100gの力をかければ臨床でも血管に入る」という意味ではありません。
ここで、もうひとつ大切なことがあります。
「血管壁を貫通できること」と、 「血管内にヒアルロン酸を注入できること」は同じではありません。
実際の血管には弾性があり、 カニューレが当たると血管そのものが動いたり、 変形したりすることがあります。
さらに血管内注入が成立するには、 血管壁を貫通したうえで、 カニューレの先端が反対側まで突き抜けず、 血管の内腔に留まった状態でヒアルロン酸を注入する必要があります。
だから私は、 「25G以上なら安全」 「カニューレなら安全」 といった一本の境界線で考えるのは難しいと思っています。
安全性は、 カニューレの太さだけで決まるものではありません。
次は、器具の違いだけではなく、過去の注入歴や、繰り返し治療した組織の状態について考えてみます
05
REPEATED INJECTIONS
繰り返し注入している部位で気にしていること。
血管閉塞の安全性を考えるとき、 針かカニューレか、何Gを使うかだけではなく、 「その場所に、これまで何が行われてきたか」 も大切だと私は考えています。
特に気にしているのが、 同じ場所に短期間でヒアルロン酸注入を繰り返しているケースです。
WHAT WE KNOW
ヒアルロン酸を入れた組織は、
必ずしも「完全に元通り」になるわけではない。
ヒアルロン酸は、見た目のボリュームが減ったあとも 組織内に残っていることがあります。
また、ヒアルロン酸注入後の鼻唇溝周囲に 線維性組織の形成がみられた症例も報告されています。
つまり、繰り返し注入している場所は、 初めて注入する組織とまったく同じ状態とは限りません。
ここからは、私が臨床上気にしていることです。
血管が「逃げにくくなる」ことはないだろうか。
本来、血管にはある程度の弾性と可動性があります。
そのため、先端の丸いカニューレが血管に当たっても、 血管そのものが押されて動いたり、変形したりすることで、 カニューレから逃げることがあります。
ところが、周囲組織に線維化や癒着があり、 血管の可動性が低下していたらどうでしょうか。
可動性が保たれている組織
カニューレが当たる ↓ 血管が動く・変形する ↓ 血管が逃げることができる
癒着・線維化した組織
カニューレが当たる ↓ 血管が動きにくい ↓ 局所に力が加わりやすくなる可能性
CLINICAL HYPOTHESIS
組織の癒着などによって血管が固定されていると、
カニューレが当たったときに血管が逃げにくくなり、
血管壁に力が集中しやすくなるのではないか。
実際、瘢痕組織では血管が周囲組織に固定されることで、 注入器具によって貫通されやすくなる可能性が指摘されています。
一方で、 「ヒアルロン酸を繰り返し注入すると癒着によって血管が固定され、 血管閉塞が増える」 ことまでを直接証明した研究は、現時点では確認できません。
私が慎重に考えている理由
これまで周囲で見聞きしたほうれい線の血管障害を振り返ったとき、 気になった共通点がありました。
短期間に、同じ部位へのヒアルロン酸注入を 繰り返していたケースがあったことです。
もちろん、これだけで因果関係を示すことはできません。 症例数を集めて比較した研究でもありません。
それでも 短期間に同じ場所へ何度もヒアルロン酸を追加する場合には、 初回注入と同じ感覚で考えない方がよいのではないかと思っています。
血管閉塞の安全性は、 カニューレの太さだけで決まるものではありません。
血管の走行、注入する層や量、器具、 そして過去の治療歴や組織の状態まで含めて考える必要があります。
06
SAFETY
安全性はひとつの条件では決まらない。
ここまで読むと、 「では太いカニューレを使えば安全なの?」 と思うかもしれません。
でも、ヒアルロン酸注入の安全性は、 ひとつの条件だけで決まるものではありません。
血管の走行
顔面動脈の位置や深さには個人差があります。 「ここなら血管はいない」と言い切れる場所ばかりではありません。
針・カニューレ
鋭い針なのか、先端の丸いカニューレなのか。 また、その太さによっても血管壁への作用は変わります。
注入する層
皮下、筋層周囲、骨膜上など、 どの深さへ注入するかによって遭遇する血管も変わります。
注入量と注入方法
一か所へ大量に入れるのか、 少量ずつ位置を確認しながら注入するのか。 注入の仕方もリスクを考えるうえで重要です。
過去の治療歴
ヒアルロン酸の反復注入や手術歴など、 その場所がこれまでどのような治療を受けてきたかも確認します。
組織の状態
初回治療なのか、残存するヒアルロン酸や 瘢痕・線維化などが考えられる組織なのか。 同じ場所でも条件は毎回同じとは限りません。
THERE IS NO SINGLE “SAFE” CONDITION.
「カニューレだから安全」でも、
「25Gだから安全」でも、
「この層だから安全」でもない。
いくつもの条件を重ねて、
リスクをできるだけ小さくしていく治療です。
もちろん、どれだけ注意しても 血管閉塞のリスクを完全にゼロにすることはできません。
だからこそ大切なのは、 「絶対に安全な方法」を探すことではなく、 その人、その場所、その時の組織に合わせて、 リスクを一つずつ減らしていくことだと考えています。
では、そこまで血管閉塞について考える必要があるなら、 「ほうれい線にはヒアルロン酸を入れない方がいい」 のでしょうか。
私は、そうは考えていません。
07
SHOULD WE AVOID IT?
それなら、ほうれい線ヒアルはやめた方がいい?
ここまで血管閉塞について詳しく読むと、 「そんなリスクがあるなら、ほうれい線には ヒアルロン酸を入れない方がいいのでは?」 と思うかもしれません。
でも、私はそうは考えていません。
リスクがあることと、治療そのものを避けることは別です。
THE QUESTION IS NOT “YES OR NO”
大切なのは、
「ヒアルロン酸を入れるか、入れないか」ではなく、
「本当にヒアルロン酸が必要なのか」を考えること。
ほうれい線は、単純に皮膚に一本のシワができているわけではありません。
頬のボリュームや脂肪の位置、骨格、 皮膚や支持組織の変化など、 いくつもの要素が重なって目立つようになります。
そのため、ほうれい線があるからといって、 すべてをヒアルロン酸で埋めればよいわけではありません。
ヒアルロン酸が向いている場合
必要な部分のボリュームを
少し補うことで、
ほうれい線が自然に目立ちにくくなる。
別の治療も考えたい場合
たるみや組織の下垂が大きく、
ほうれい線を消そうとすると
多くのヒアルロン酸が必要になる。
ヒアルロン酸は、 ボリュームを足す治療です。
もちろん、そのボリュームを上手に使うことで、 ほうれい線を自然に整えられることがあります。
一方で、たるみによって深くなったほうれい線を ヒアルロン酸だけで完全に消そうとすると、 必要以上にボリュームを足すことになりかねません。
そして安全性という視点から考えても、 必要のない場所へ何度も追加していくことは 私はおすすめしていません。
まず、なぜほうれい線が目立っているのかを診る。
そのうえでヒアルロン酸が適しているのであれば、 必要な場所に、必要な量だけ使う。
ほかの治療を組み合わせた方が自然なのであれば、 ヒアルロン酸だけにこだわらない。
an clinic’s approach
「危険だから打たない」でも、「簡単な治療だから気軽に足す」でもない。
リスクを知ったうえで、必要な治療を、必要な分だけ行う。
では実際に、an clinicでは ほうれい線のヒアルロン酸をどのように考えているのか。
最後に、当院の治療方針をまとめます。
08
OUR APPROACH
an clinicでは、ほうれい線ヒアルをどう考える?
ほうれい線は、ヒアルロン酸注入が とても役立つことのある部位です。
だから当院では、 「血管があるから入れない」とは考えていません。
一方で、 ほうれい線があるから、とりあえずヒアルロン酸を足す という考え方もしません。
01 / INDICATION
まず、「本当にヒアルロン酸が必要か」を考える。
ほうれい線が目立つ原因はひとつではありません。 ボリューム不足を補うことで自然に整う人もいれば、 頬の下垂やたるみへの治療を先に考えた方がよい人もいます。
ヒアルロン酸だけでほうれい線を消そうとすると、 必要以上のボリュームになってしまう場合には、 別の治療も含めて考えます。
02 / MINIMUM VOLUME
完全に消すことより、必要な分だけ。
ヒアルロン酸は、ボリュームを足す治療です。
ほうれい線をゼロにすることを目標にすると、 「もう少し、もう少し」と注入量が増えていくことがあります。
当院では、ほうれい線を完全になくすことよりも、 顔全体で見たときに自然に整っていることを重視しています。
03 / TREATMENT HISTORY
「前回いつ、どこに、どれくらい入れたか」も見る。
初めて注入する場所と、 何度もヒアルロン酸を注入してきた場所を、 まったく同じ条件とは考えません。
見た目には減っていてもヒアルロン酸が残っている可能性があり、 過去の治療によって組織の状態が変化していることも考えられます。
特に当院では、 短期間に同じ部位へ何度も追加注入することには慎重です。
04 / CAREFUL TECHNIQUE
抵抗があれば絶対に突き進まない。中止を厭わない
大切な構造物や強い癒着がある場合には、通常の部位では感じないような強い抵抗を感じることがあります。 安全性を優先し、中止や治療方針の変更もためらわずに行います。
リスクが高いと予想されるときは、安全第一で中止や治療方針の変更も躊躇なく勇気をもって行います。
05 / SAFETY
「絶対に安全な場所」があるとは考えない。
顔面動脈の走行や深さには個人差があります。
そのため、 「ここに入れれば大丈夫」 「カニューレだから大丈夫」 「このG数だから大丈夫」 という一つの条件だけで安全性を判断しません。
解剖、注入する場所や層、器具、注入量、 そして過去の治療歴など、 複数の条件を重ねてリスクを考えます。
an clinic’s philosophy
ヒアルロン酸は足す治療。
だからこそ、足しすぎない。
必要な場所に、適した製剤を、
必要最低限だけ。
09
FAQ
ほうれい線ヒアルロン酸の
よくある質問
Q. ほうれい線のヒアルロン酸で、血管閉塞は起こりますか?
頻度は高くありませんが、起こる可能性があります。
ほうれい線周囲には顔面動脈が走っており、 その位置や深さには個人差があります。 そのため、血管閉塞のリスクを完全にゼロにすることはできません。
Q. ほうれい線ヒアルロン酸で失明することはありますか?
非常にまれですが、フィラー注入後の視覚障害や失明は報告されています。
鼻や眉間、額などからの報告が多い一方、 ほうれい線からの症例報告もあります。 まれではありますが、注入治療を行ううえで知っておくべき重大な合併症のひとつです。
Q. カニューレを使えば、血管閉塞は起こりませんか?
いいえ。カニューレでも血管閉塞は起こり得ます。
大規模な後ろ向き研究では、 カニューレは針より血管閉塞が少なかったと報告されています。 ただし、カニューレによる血管閉塞もゼロではありません。
Q. 太いカニューレなら安全ですか?
太さは安全性を考える要素のひとつですが、それだけで安全とは言えません。
実験では、太い鈍針カニューレほど 血管壁を貫通するために大きな力を必要とする傾向が報告されています。
ただし安全性は、血管の走行、注入する層や量、 過去の治療歴など複数の条件に左右されます。 「25G以上なら安全」という境界が証明されているわけではありません。
Q. 以前ヒアルロン酸を入れた場所に、追加しても大丈夫ですか?
追加注入そのものができないわけではありません。
ただし、見た目には減っていても 過去のヒアルロン酸が残っていることがあります。 また、過去の治療によって組織の状態が 初回注入時とは異なっている可能性もあります。
当院では特に、短期間に同じ場所へ 何度も追加注入することには慎重です。
Q. 繰り返しヒアルロン酸を入れると、血管閉塞が起こりやすくなりますか?
現時点では、その因果関係が医学的に証明されているわけではありません。
ヒアルロン酸注入後の線維性組織形成は報告されていますが、 「反復注入による組織変化が血管を固定し、その結果として血管閉塞が増える」 ところまでを直接示した研究は確認できていません。
これは当院が臨床上注意している点であり、 確立されたリスク因子とは分けて考える必要があります。
Q. 血管閉塞が疑われた場合は、どうしますか?
血管閉塞が疑われる場合は、早急な評価と対応が必要です。
ヒアルロン酸による皮膚の血管閉塞では、 状況に応じてヒアルロニダーゼによる溶解などが検討されます。
視覚症状がある場合は特に緊急性が高く、 速やかな専門的評価・対応が必要です。
Q. 結局、ほうれい線にはヒアルロン酸を入れない方が安全ですか?
リスクがあることと、治療を避けることは同じではありません。
ヒアルロン酸が適しているほうれい線であれば、 自然に整えるための有用な選択肢になります。
大切なのは、ほうれい線をすべてヒアルロン酸で埋めようとせず、 原因を診たうえで、必要な場所に必要な量だけ使うことだと考えています。
10
SUMMARY
ほうれい線ヒアルは「危険だからやめる」治療ではない。
ほうれい線の近くには顔面動脈が走っており、 ヒアルロン酸注入による血管閉塞のリスクはゼロではありません。
カニューレを使うことや、その太さを選ぶことも リスクを考えるうえで大切な要素です。 でも、それだけで安全性が決まるわけではありません。
血管の走行、注入する場所や層、注入量、 使用する器具、これまでの治療歴、組織の状態。
いくつもの条件を重ねながら、 リスクをできるだけ小さくしていく。
そして、その前に考えたいのが、 そもそもそのほうれい線に ヒアルロン酸が必要なのかということです。
ヒアルロン酸は足す治療。
だからこそ、足しすぎない。
CONSULTATION
ほうれい線に本当にヒアルロン酸が必要?
ほうれい線の原因は、人によって異なります。
ヒアルロン酸が向いているのか、
ほかの治療を考えた方がよいのか。
診察で、顔全体のバランスを見ながらご提案します。
必要のない治療を、無理におすすめすることはありません。


