JOURNAL / NASOLABIAL FOLD
ほうれい線はヒアルロン酸だけでいい?
ただ埋めればいいとは限らない。
ほうれい線ができる構造から、治療を考えます。
「ほうれい線が気になるので、ヒアルロン酸を入れたい」
診察でよくいただくご相談のひとつです。
確かに、ほうれい線はヒアルロン酸で目立ちにくくできることがあります。 ただし、すべてのほうれい線を同じように「埋める」ことが、 必ずしも自然な治療になるとは限りません。
ほうれい線治療で大切なのは、
「線」ではなく、「段差」を見ること。
頬と口周りでは、もともとの組織の厚みや構造が異なります。 さらに、鼻の付け根のくぼみや、加齢による頬の下垂が加わることで、 その境界にできる段差や影が強くなっていきます。
ヒアルロン酸の役割は、その段差をなだらかに整えること。
しかし、段差が大きくなった原因が「ボリューム不足」ではなく、 頬の下垂やもたつきにある場合、 ヒアルロン酸だけで補正しようとすると無理が出てくることがあります。
この記事では、ほうれい線ができる構造から、 ヒアルロン酸で整えるところと、先に別の治療を考えた方がよいところを 順番に考えていきます。
WHY NASOLABIAL FOLDS FORM
なぜ、ほうれい線ができるの?
ほうれい線を見ると、一本の「シワ」が刻まれているように見えます。
しかし実際には、単純に皮膚に一本の線ができているだけではありません。
POINT
ほうれい線は、頬と口周りの「境界」にできる。
頬側と口周りでは、皮下組織の厚みや構造が異なります。これは骨格上の問題なので若い方にもみられるほうれい線の一つです。
頬には比較的厚みのある軟部組織がありますが、 口周りでは組織の構造が変わります。 そのため、両者の境界にはもともと高低差が生まれやすく、 光が当たるとその高低差が「影」として見えます。
ほうれい線を治療するとき、 まずは、この「頬と口周りの段差」から確認します。
頬と口周りのボリューム差
頬側と口周りでは軟部組織の厚みや構造が異なるため、 その移行部に段差が生まれます。
鼻翼基部のくぼみ
鼻の付け根が後方にくぼんでいる場合、 鼻横にできる影によって、 ほうれい線の始まりがより深く見えることがあります。
加齢による頬の下垂
加齢によって頬の軟部組織が下垂すると、 ほうれい線の上側にボリュームが集まり、 頬と口周りの段差がさらに強調されることがあります。
THE IMPORTANT POINT
「ほうれい線」を作っている原因は 単純ではありません。
だだから、原因を見ずに、ほうれい線だけにヒアルロン酸を入れ続けると、必要以上にボリュームが増え、不自然な仕上がりにつながることがあります。
そうならないようにたるみの全体像をとらえて最適で最も効率的な治療を考える必要があります。
HYALURONIC ACID
ほうれい線のヒアルロン酸治療で大切なこと
ほうれい線にヒアルロン酸を使う目的は、 線そのものを追いかけて埋めることではありません。
大切なのは、 頬と口周りの間にできている高低差を、なだらかに整えること。
THE ROLE OF HYALURONIC ACID
ヒアルロン酸は、
「溝」を埋めるのではなく、
「段差」を整える。
たとえば、鼻の付け根がくぼんでいる場合。
そのくぼみによって鼻横から影が始まっているのであれば、 影の起点となっている部分を整えることで、 ほうれい線の見え方が変わることがあります。
また、頬と口周りのボリューム差が大きい場合には、 その境界を自然につなぐようにヒアルロン酸を使うことで、 段差を目立ちにくくすることができます。
たとえば、若い方で見られる、段差の原因が単純なボリューム不足であれば、 ヒアルロン酸はとても相性のよい治療です。
しかし、年齢とともに頬の組織が下がり、 その下垂によって段差が大きくなっている場合には、 少し話が変わってきます。
AGING & DESCENT
年齢が上がるとヒアルロン酸だけでは難しい?
若い頃からあるほうれい線と、 年齢とともに目立ってきたほうれい線。
同じ「ほうれい線」に見えても、 その成り立ちは少し違います。
加齢によって頬の軟部組織が下垂すると、 ほうれい線の上側にボリュームが集まり、 頬と口周りの高低差がさらに大きくなることがあります。
WHAT CHANGES WITH AGE
「低いところ」が低いだけではなく、 「高いところ」が下がってきている。
頬の軟部組織が下垂する
ほうれい線の上側に
ボリュームが集まる
頬と口周りの段差が大きくなる
ほうれい線の影が
より深く見える
この状態で、ほうれい線だけを見て ヒアルロン酸を追加していくとどうなるでしょうか。
段差の「低い側」を持ち上げることで、 一時的に高低差を小さくすることはできます。
しかし、段差を大きくしている原因のひとつが 上から下がってきた頬のボリュームであるなら、 それを残したまま低い側だけを延々高くしていくことになります。その結果、ほうれい線そのものは浅くなっても、口元が前方へ張り出して見えたり、中顔面全体が重く見えたりすることがあります。
ほうれい線が薄くなれば、
それで若く見えるとは限らない。
ヒアルロン酸を入れることで、 ほうれい線そのものは浅く見えるかもしれません。
しかし、必要以上にボリュームを追加すると、 口周りや中顔面が重く見えたり、 顔全体の立体感が不自然になったりすることがあります。
当院が治療したいのは、 「ほうれい線という一本の線」だけではありません。
他の治療も併用させながら 顔全体を見たときに、 頬から口元までが自然につながり、 影や重さが目立ちにくくなることを目指します。
では、頬側の下垂やもたつきは、 どのように整えるのでしょうか。
BEFORE ADDING VOLUME
「足す」前に整えるべきもの
ほうれい線の段差が、 加齢による頬の下垂やもたつきによって大きくなっている場合。
an clinicでは、最初からその段差をすべて ヒアルロン酸で埋めようとは考えません。
まず、 段差を大きくしている「頬側」を整えられないかを考えます。
TREATMENT DESIGN
たるみを整えれば、正しく注入量も減る。
たるみをきちんとケアすることで、必要なヒアルロン酸の量を 少なくできることがあります。
ただし、頬側を整える方法もひとつではありません。
皮膚のゆるみが中心なのか。 皮下組織のもたつきがあるのか。 それとも、頬の下垂そのものをもう少し大きく動かしたいのか。
その状態によって、治療を使い分けます。具体的には以下の通りです。
RF MICRONEEDLING
モフィウス8
皮膚のゆるみや 頬のもたつきを整えたいとき。
モフィウス8は、マイクロニードルからRFエネルギーを届ける治療です。 深さやエネルギーを調整しながら、 皮膚から皮下組織まで目的に合わせて治療します。
ほうれい線そのものを埋める治療ではありませんが、 熱で引き締めることにより頬側のゆるみやボリュームのバランスを整え、 ほうれい線との高低差を小さくすることを目指します。
モフィウス8について詳しく見るSHORT THREAD
ショートスレッド
頬のゆるみを整え硬くする。
短い糸を複数挿入し、 やわらかい頬の組織や肌を引き締め硬くする治療です。
大きく組織を移動させるというより、 頬全体のゆるみや質感を整えたい場合に 選択肢になることがあります。
ショートスレッドについて詳しく見るTHREAD LIFT
糸リフト
頬の下垂による位置の変化を、
より直接的に整えたいとき。
頬の軟部組織の下垂が大きい場合には、 糸リフトによって組織の位置関係を調整することを 検討する場合があります。
ほうれい線だけを引っ張るのではなく、 顔全体のバランスを見ながら、 どの方向にどの程度整えるのかを考えます。
糸リフトについて詳しく見るNOT EITHER / OR
ヒアルロン酸か、たるみ治療か。
二者択一ではありません。
頬側の下垂を整えても、 もともとの骨格や軟部組織の構造による段差まで すべてなくなるわけではありません。
そこで初めて、 残っている高低差をヒアルロン酸で調整します。
DIFFERENT CAUSES
他にも「ほうれい線」がある
ここまで、頬と口周りの段差、 そして加齢による頬の下垂についてお話ししてきました。
ただし、ほうれい線のように見える線や影が、 すべて同じ理由でできているわけではありません。
診察では、もう少し細かく 「どこに、どの深さの問題があるのか」を見ていきます。
SKIN CREASE
皮膚そのものに、
折れジワが残っている場合
長くほうれい線があると、 頬と口周りの段差だけではなく、 皮膚そのものに細い折れジワが刻まれていることがあります。
この場合、深い部分のボリュームバランスを整えても、 皮膚表面の細い線だけが残ることがあります。
このような場合には、 皮膚表面に残った折れジワに対して、少量のヒアルロン酸による治療を検討することがあります。
同じヒアルロン酸でも、
目的によって入れる場所も、深さも違います。
PARANASAL DEPRESSION
鼻横の影が強い場合は、
「埋もれ鼻」が隠れていることも。
もうひとつ確認したいのが、 ほうれい線の一番上、 鼻翼基部のくぼみです。
鼻翼基部が後方にくぼんでいると、 鼻横に深い影が生まれ、 そこからほうれい線が始まっているように見えることがあります。
このタイプでは、 ほうれい線を下まで追いかけてヒアルロン酸を入れるよりも、 影の起点となっている鼻翼基部そのものを整える方が 合理的な場合があります。
an clinicの「埋もれ鼻治療」
an clinicでは、 鼻翼基部の陥凹がほうれい線を強調している場合、 「埋もれ鼻」として治療を考えることがあります。
埋もれ鼻治療では、 単にたくさんのボリュームを足すのではなく、 鼻翼基部を支えながら前方への立体感をつくることを考えます。
当院では、このような治療に NEAUVIA(ニュービア)を選択することがあります。 注入する部位や必要な支持力などを考えながら、 製剤を使い分けています。
埋もれ鼻治療について詳しく見るSAME LINE, DIFFERENT TREATMENT
見えているのは同じ「ほうれい線」。
でも、治療する場所は同じとは限りません。
頬と口周りの段差
ヒアルロン酸で高低差を整える
頬の下垂・もたつき
まず頬側の治療を検討する
皮膚の折れジワ
浅い層へのヒアルロン酸を検討する
鼻翼基部の陥凹
埋もれ鼻として影の起点を整える
THE QUESTION IS NOT
「ほうれい線に、何cc入れますか?」
「なぜ、ここに影ができているのか?」
そこから考えることが、 自然なほうれい線治療の第一歩だと考えています。
OUR ANSWER
結局、ほうれい線は
ヒアルロン酸だけで治療できる?
答えは、 「そのほうれい線が、なぜできているかによる」 です。
頬と口周りのもともとの高低差が中心であれば、 ヒアルロン酸で段差を整えることが、とてもよい治療になることがあります。
一方で、加齢による頬の下垂やもたつきによって 段差が大きくなっている場合には、 ヒアルロン酸だけですべてを補正しようとすると、 必要以上にボリュームを足すことになってしまう場合があります。
TREATMENT DESIGN
私たちは、こんな順番で考えます。
まず、なぜ段差ができているのかを見る。
頬と口周りのボリューム差なのか。 鼻翼基部のくぼみなのか。 頬の下垂なのか。 皮膚そのものの折れジワなのか。
下垂やもたつきが大きければ、先に頬側を整える。
状態に応じて、モフィウス8、ショートスレッド、 糸リフトなどを検討します。
そのあとに残った段差を見る。
頬側を整えても残る、 もともとの骨格や軟部組織による高低差を確認します。
必要なところに、必要なだけヒアルロン酸を使う。
「ほうれい線を消すための量」ではなく、 顔全体の高低差を自然につなぐために必要な量を考えます。
ほうれい線は、 顔の中に突然一本の線ができているわけではありません。
鼻翼基部のくぼみ。
頬と口周りのボリューム差。
加齢による頬の下垂。
そして、皮膚に残った折れジワ。
それらが重なって、 私たちにはひとつの「ほうれい線」として見えています。
だから、治療もひとつではありません。
「何cc入れるか」より先に、
「なぜ、この影ができているのか」を考える。
それが、an clinicのほうれい線治療の考え方です。
FAQ
ほうれい線とヒアルロン酸。
よくある質問
ほうれい線治療について、 診察でよくいただく質問をまとめました。
Q ほうれい線にヒアルロン酸を入れると、 どうなりますか?
ヒアルロン酸によって、 頬と口周りの高低差をなだらかにし、 ほうれい線の影を目立ちにくくすることができます。
ただし、ほうれい線という「線」を そのまま埋めればよいとは限りません。
鼻翼基部のくぼみや頬の下垂など、 どこに段差の原因があるのかを確認してから 注入する場所を決めることが大切です。
Q ほうれい線には、 ヒアルロン酸を何cc入れますか?
必要な量は、ほうれい線の深さだけでは決まりません。
骨格、鼻翼基部のくぼみ、 頬と口周りのボリューム差、 頬の下垂などによって必要量は異なります。
an clinicでは、 最初に「何cc入れるか」を決めるのではなく、 どこに、なぜ段差ができているのかを確認し、 必要な場所に必要な量を使用します。
Q ほうれい線にヒアルロン酸を 入れすぎるとどうなりますか?
必要以上にボリュームを追加すると、 口周りや中顔面が重く見えたり、 顔全体の立体感が不自然に見えたりすることがあります。
特に、頬の下垂によって ほうれい線の上側にボリュームが集まっている場合、 低い側へヒアルロン酸を足し続けるだけでは 顔全体のボリュームが増えてしまいます。
ほうれい線を完全に消すことより、 顔全体を見ながら自然な高低差に整えることが大切です。
Q ほうれい線は、 ヒアルロン酸と糸リフトの どちらがいいですか?
どちらが適しているかは、 ほうれい線が目立つ原因によって異なります。
もともとの骨格や軟部組織の高低差が中心であれば、 ヒアルロン酸が適していることがあります。
一方、加齢による頬の下垂が ほうれい線を強調している場合には、 糸リフトなどで頬側を整えることを 先に検討する場合があります。
また、両者を組み合わせることもあります。 頬側を整えたあとに残った段差へ 少量のヒアルロン酸を使用する、という考え方です。
Q ほうれい線のヒアルロン酸は、 どのくらい持ちますか?
持続期間は、使用する製剤、 注入する部位や深さ、注入量、 体質などによって異なります。
また、時間の経過とともに ヒアルロン酸は徐々に吸収されていくため、 効果が永久に続く治療ではありません。
必要に応じて経過を確認しながら、 再治療の時期を検討します。
Q ほうれい線にヒアルロン酸を入れても 消えないのはなぜですか?
ほうれい線は、 単純なボリューム不足だけで できているわけではないからです。
頬の下垂、鼻翼基部のくぼみ、 頬と口周りの構造的な高低差、 皮膚そのものに刻まれた折れジワなど、 複数の要因が重なっていることがあります。
そのため、ヒアルロン酸でボリュームを補っても 原因によっては線や影が残ることがあります。
「ヒアルロン酸が足りない」と考えて追加する前に、 何が残っているのかを見直すことが大切です。
CONSULTATION
あなたのほうれい線は、
何がつくっているのでしょうか。
ヒアルロン酸が必要なのか。
その前に、頬側を整えた方がいいのか。
鼻翼基部のくぼみが影響しているのか。
診察では、ほうれい線だけを見るのではなく、
頬・鼻・口周りを含めた顔全体のバランスから考えます。


