JOURNAL / ACNE SCAR
ニキビ跡にモフィウス8は効果がある?
サブシジョンとの併用について
ニキビ跡の凹みは、 すべて同じ形ではありません。
なだらかに凹むもの。 境界がはっきりしたもの。 深く細く落ち込むもの。
ニキビ跡の種類によっては、 モフィウス8とサブシジョンの併用が 有用な場合があります。
特に、皮膚の下にある線維性の癒着によって 凹みが引き込まれている場合には、 マイクロニードルRF(モフィウス8)だけでなく、 その癒着を解除する治療を 組み合わせるという考え方があります。
この記事では、 ニキビ跡の種類と、 モフィウス8・サブシジョンの役割について 論文をもとに解説します。
01 / ACNE SCAR TYPES
ニキビ跡は、全部同じ凹みではない。
萎縮性のニキビ跡は、 凹み方によってrolling scar、boxcar scar、icepick scar の3つに分けて考えます。
ただし実際には、 ひとつのタイプだけが存在するとは限りません。
同じ顔の中に、異なる形のニキビ跡が 混在していることも少なくありません。
TYPE 01
Rolling scar
なだらかに波打つような凹み
境界が比較的なだらかで、 皮膚が波打つように見えるニキビ跡です。
皮膚の下にある線維性組織によって 凹みが引き込まれていることがあり、 このような癒着を tethering と呼びます。
tetheringが強い場合には、 皮膚の表面から治療するだけでなく、 下から引っ張っている癒着を解除する サブシジョンが選択肢になります。
TYPE 02
Boxcar scar
境界が比較的はっきりした凹み
円形や楕円形で、 周囲との境界が比較的はっきりしたニキビ跡です。
浅いものから深いものまであり、 凹みの深さや広さ、 癒着の有無によって 適する治療が変わります。
マイクロニードルRF(モフィウス8)による 組織のリモデリングが選択肢になる一方で、 癒着を伴う場合には サブシジョンを組み合わせることもあります。
TYPE 03
Icepick scar
深く細く落ち込んだ凹み
表面の入口は小さいものの、 皮膚の深いところまで 細く落ち込んでいるニキビ跡です。
深いicepick scarでは、 サブシジョンやマイクロニードルRF(モフィウス8)だけでは 十分な改善が得られにくい場合があります。
状態によっては、 TCA CROSSなど、 凹みそのものを局所的に狙う治療を 検討することがあります。
THE POINT
「ニキビ跡」という一種類の病変があるわけではありません。
凹みの形、深さ、癒着の有無によって、 必要な治療は変わります。 そのため、最初からひとつの治療だけで すべてのニキビ跡を治そうとするのではなく、 それぞれの凹みに合わせて考えることが大切です。
02 / SUBCISION
サブシジョンは、凹みを「埋める」治療ではありません。
ニキビ跡の凹みの中には、 皮膚の下にできた線維性の組織によって、 下方向へ引っ張られているものがあります。
表面から見ると単なる「凹み」ですが、 その下では、 瘢痕組織が皮膚を固定している ことがあります。
サブシジョンは、 凹んだ部分の皮膚の下へ針やカニューレを挿入し、 この線維性の癒着を切離する治療です。
BEFORE
下から引っ張られている
線維性の癒着によって皮膚が固定され、 表面に凹みとして見えている状態です。
サブシジョンSUBCISION
癒着を解除する
皮膚の下から癒着を切離し、 凹みを固定している力を解除します。
凹みを下から引っ張っている癒着を解除する治療です。 そのため、すべてのニキビ跡に行うのではなく、 tetheringが関与している凹みを見極めて行います。
一方で、癒着を解除するだけでは、 ニキビ跡のすべてが改善するわけではありません。
実際のニキビ跡では、 rolling scar、boxcar scar、icepick scarなどが 同じ顔の中に混在していることがあります。
そこで、 癒着を解除するサブシジョンと、 皮膚そのもののリモデリングを目的とする マイクロニードルRF(モフィウス8)を組み合わせる という考え方が出てきます。
モフィウス8は、 細い針を皮膚に挿入し、 針先からRF(高周波)を流す マイクロニードルRFです。
針を刺すことによる刺激に加えて、 皮膚の内部にRFによる熱エネルギーを加え、 組織のリモデリングを促します。
マイクロニードルRFについては、 萎縮性ニキビ跡を対象とした複数の臨床研究があり、 ニキビ跡の改善が報告されています。
SUBCISION
癒着を解除する
凹みを下方向へ引っ張っている 線維性の癒着を切離します。
MICRONEEDLE RF
組織をリモデリングする
皮膚の内部へ針とRFによる刺激を加え、 萎縮性ニキビ跡の改善を図ります。
サブシジョンとモフィウス8は、同じ仕事をしている治療ではありません。
下から引っ張っている癒着を解除する治療と、 皮膚そのもののリモデリングを促す治療。 それぞれ役割が異なるからこそ、 ニキビ跡の状態によっては 組み合わせる意味があります。
ただし、 ニキビ跡があれば全員に サブシジョンとモフィウス8の両方が 必要というわけではありません。
癒着が強いのか。 どのような形の凹みが多いのか。 どの程度の深さなのか。
ニキビ跡の構造を見ながら、 必要な治療を組み合わせることが大切です。
04 / EVIDENCE
サブシジョン+ニードルRFの効果についての研究
2017年に、 萎縮性ニキビ跡に対する マイクロニードルRF単独と、 サブシジョン+マイクロニードルRF を比較した臨床研究が報告されています。
対象となったのは、 中等度から重度の萎縮性ニキビ跡をもつ25人です。
この研究では、 同じ患者さんの顔を左右に分けて比較する split-face study が行われました。
SIDE A
マイクロニードルRFのみ
マイクロニードルRFを計3回施行
SIDE B
サブシジョン+ マイクロニードルRF
最初にサブシジョンを行い、 その2週間後からマイクロニードルRFを計3回施行
STUDY PROTOCOL
顔の片側のみサブシジョン
2週間後両側にマイクロニードルRF
4週間隔でマイクロニードルRFをさらに2回
RESULT
サブシジョン+マイクロニードルRF側の方が、有意に良好な改善を示しました。
つまり、 マイクロニードルRFだけで治療するよりも、 サブシジョンで癒着を解除してから マイクロニードルRFを行った側の方が、 より良い結果を示したということです。
ただし、この研究は25人を対象とした 比較的小規模な研究です。
また、 すべてのニキビ跡に サブシジョンを加えればよい、 ということを示した研究ではありません。
ニキビ跡の形や癒着の有無を見て、 サブシジョンを組み合わせる意味があるかどうかを 判断することが大切です。 ちなみに、この研究で用いられたマイクロニードルRFは、モフィウス8と同じ「マイクロニードルRF」というカテゴリーに属する治療です。
REFERENCE
Faghihi G, Poostiyan N, Asilian A, et al. Efficacy of fractionated microneedle radiofrequency with and without adding subcision for the treatment of atrophic facial acne scars: A randomized split-face clinical study. J Cosmet Dermatol. 2017;16:223-229.
PubMedで論文を見る →05 / OUR APPROACH
当院では、ニキビ跡の形を見て、治療を組み合わせます。
AN CLINICでは、 モフィウス8とサブシジョンの 両方を行っています。
ただし、 ニキビ跡があるから全員に 同じ治療を行うわけではありません。
実際のニキビ跡では、 rolling scar、boxcar scar、icepick scarなど、 異なるタイプの凹みが 同じ顔の中に混在していることがあります。
そのため、 ひとつひとつの凹みだけを見るのではなく、 顔全体にどのようなニキビ跡が分布しているのか を見ながら治療を考えます。
01
TETHERING
癒着のある凹み
下から引っ張られている凹みでは、 癒着の状態を確認し、 必要に応じてサブシジョンを検討します。
02
REMODELING
広く存在する萎縮性ニキビ跡
マイクロニードルRFであるモフィウス8を用いて、 皮膚内部へ針とRFによる刺激を加え、 組織のリモデリングを図ります。
03
SPOT TREATMENT
それでも残る深い凹み
深く細いicepick scarなど、 サブシジョンやマイクロニードルRFだけでは 改善しにくい凹みでは、 TCA CROSSなど別の局所治療を 検討することがあります。
OUR APPROACH
「何の機械を使うか」より、「この凹みには何が必要か」。
癒着を解除する必要があるのか。 皮膚のリモデリングが必要なのか。 深い凹みを個別に治療する必要があるのか。 ニキビ跡の状態に合わせて、 必要な治療を組み合わせていきます。
ACNE SCAR TREATMENT
モフィウス8 × サブシジョン
当院では、 ニキビ跡の形・深さ・癒着の有無を診察し、 モフィウス8単独、サブシジョン、 または両者の併用を検討します。
※すべてのニキビ跡に サブシジョンや併用治療が適しているわけではありません。
06 / FAQ
ニキビ跡治療についてよくある質問。
Q モフィウス8だけでニキビ跡は改善しますか?
モフィウス8単独でも、萎縮性ニキビ跡の改善は報告されています。
マイクロニードルRFを用いたニキビ跡治療については 複数の臨床研究があり、 組織のリモデリングによる改善が報告されています。
ただし、凹みが線維性の癒着によって 強く引き込まれている場合には、 モフィウス8だけでは十分に改善しにくいことがあります。 そのような場合には、 サブシジョンの併用を検討します。
Q どんなニキビ跡にサブシジョンが向いていますか?
皮膚の下に癒着があり、 凹みが下方向へ引っ張られているニキビ跡が 主な対象になります。
特にrolling scarでは、 線維性の癒着が凹みに関与していることがあり、 サブシジョンが選択肢になります。
一方、すべてのrolling scarやboxcar scarに サブシジョンが必要というわけではありません。 実際の凹み方や癒着の状態を診察して判断します。
Q モフィウス8とサブシジョンは、一緒にする意味がありますか?
ニキビ跡の状態によっては、 両者を組み合わせる意味があります。
サブシジョンは、 凹みを下から引っ張っている癒着を解除する治療です。 一方、モフィウス8はマイクロニードルRFによって 組織のリモデリングを促す治療です。
2017年のrandomized split-face studyでは、 マイクロニードルRF単独側よりも、 サブシジョンを併用した側で 有意に良好な改善が報告されています。
Q アイスピック型のニキビ跡にもモフィウス8は効きますか?
マイクロニードルRFによる改善が報告されていますが、 深いicepick scarでは別の治療が必要になることがあります。
icepick scarは、 表面の入口が小さく、 深く細く落ち込んでいることが特徴です。
特に深い凹みでは、 マイクロニードルRFやサブシジョンだけで 十分な改善が得られにくいことがあり、 状態によってはTCA CROSSなどの 局所治療を検討します。
Q モフィウス8は何回受ければニキビ跡が治りますか?
「何回で治る」と一律に決めることはできません。
マイクロニードルRFの研究では、 複数回の治療を行っているものが多くありますが、 治療回数や針の深さ、出力などのプロトコルは 研究によって異なります。
また、ニキビ跡の種類や深さ、 癒着の程度によっても必要な治療は異なります。 そのため当院では、 凹みの状態を見ながら治療計画を考えます。
Q 自分のニキビ跡が何型なのかわかりません。
実際には、複数のタイプが混在していることも少なくありません。
写真で見る典型的なrolling、boxcar、icepickのように、 きれいにひとつのタイプだけに分かれているとは限りません。
そのため、 「私は何型なのか」だけにこだわるよりも、 どの凹みに癒着があるのか、 どの程度の深さなのかを診察し、 それぞれに必要な治療を考えることが大切です。
07 / SUMMARY
ニキビ跡治療は、凹みの形から考える。
モフィウス8は、 萎縮性ニキビ跡に対して 選択肢となるマイクロニードルRF治療です。
ただし、 ニキビ跡の凹みはすべて同じではありません。
rolling scar、boxcar scar、icepick scarなど、 異なるタイプが混在し、 さらに皮膚の下の癒着が 凹みに関与していることもあります。
そのため、 モフィウス8だけで治療するのか、 サブシジョンを組み合わせるのか、 あるいは別の局所治療を検討するのか。
大切なのは、 「ニキビ跡にはこの治療」と 一律に決めることではありません。
CONCLUSION
ニキビ跡の種類によっては、モフィウス8とサブシジョンの併用が
有用な場合があります。
凹みの形、深さ、癒着の有無を見ながら、 それぞれに必要な治療を組み合わせることが ニキビ跡治療では重要です。


