世界のニキビ治療について

ACNE TREATMENT / WORLD STANDARD

海外では、
ニキビをどう治療している?

日本・アメリカ・イギリス・韓国。
4か国の標準治療を比べてみました。

MEDICAL REVIEW

AN CLINIC MOTOMACHI 院長

この記事の著者

AN CLINIC MOTOMACHI

  院長 荒井美香

an clinic(あんクリニック)院長
美容外科・美容皮膚科 / 麻酔科

  • 日本美容外科学会(JSAS)専門医
  • 麻酔科認定医・標榜医
  • 日本抗加齢医学会専門医

神戸元町・三宮にあるan clinic(あんクリニック)院長。
救急・麻酔科での診療経験を経て、美容医療に従事。 美容医療歴約7年。治療そのものだけでなく、 痛みや不安にも配慮した美容医療を大切にしています。

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ニキビ治療というと、日本では塗り薬や抗菌薬による治療が まず思い浮かぶかもしれません。

では、海外ではどうなのでしょうか。

UNITED STATES

アメリカ

重症例や治療抵抗性のニキビでは、 イソトレチノインが重要な選択肢として位置づけられています。

UNITED KINGDOM

イギリス

一定期間治療を行って効果を評価し、 次の治療へ進む流れが明確に示されています。

SOUTH KOREA

韓国

薬物療法が基本ですが、美容医療まで視野を広げると、 レーザーや高周波などを用いた研究も多く見つかります。

JAPAN

日本

日本にも、日本皮膚科学会による ニキビ治療のガイドラインがあります。

THEN, WHAT IS DIFFERENT?

日本と海外のニキビ治療、何が違う?

この記事では、日本・アメリカ・イギリス・韓国の ガイドラインや医学文献をもとに、 それぞれのニキビ治療を比較していきます。

「海外では特別な治療をしている」という話ではありません。

むしろ比べてみると、 ニキビ治療の基本には、多くの共通点があります。

そのうえで、使える薬、治療を切り替えるタイミング、 重症例への対応などに、それぞれの国の違いが見えてきます。

日本のニキビ治療は世界基準より遅れているのでしょうか?

世界の標準治療を少し覗きながら、 ニキビ治療を整理してみましょう。

01 / COMMON GROUND

まず結論。
4か国の基本治療は、
意外とよく似ています。

日本・アメリカ・イギリス・韓国。
治療の選択肢には違いがありますが、 ニキビ治療の土台そのものは大きく変わりません。

01

COMEDONES

 毛穴のつまりを治療する

ニキビは、炎症を起こした赤いニキビだけではありません。 その前段階にある面皰(コメド)から治療することが重要です。

02

INFLAMMATION

 炎症を抑える

炎症性ニキビでは、BPOや抗菌薬などを 状態に応じて組み合わせて治療します。

03

SEVERE ACNE

 重症度によって治療を変える

外用治療だけで十分なのか、 内服治療まで必要なのか。 重症度や治療への反応をみながら治療を段階的に考えます。

04

MAINTENANCE

 治ったあとも、再発を防ぐ

炎症が落ち着けば、それで治療がすべて終了するとは限りません。 面皰を抑え、新しいニキビを作りにくくする維持治療も大切です。

THE FOUNDATION IS SIMILAR

違うのは、
「ニキビ治療の基本」よりも、
その先に持っている選択肢。

たとえば、アダパレンなどの外用レチノイドやBPOは、 日本だけで使われている治療ではありません。 海外のガイドラインでも、ニキビ治療を構成する 重要な治療として位置づけられています。

また、炎症が強い場合には抗菌薬を組み合わせ、 症状が落ち着いたあとには再発を防ぐ治療を考える。 こうした治療の考え方にも、多くの共通点があります。

一方で違いが見えてくるのが、 標準治療で十分な効果が得られなかったときです。

イソトレチノインをどの段階で使うのか。 女性のニキビにホルモン治療を取り入れるのか。 そして、機器治療をどのように位置づけるのか。

ここから先に、それぞれの国の特徴が見えてきます。

02 / HOW ACNE FORMS

ニキビができる仕組みを少しおさらい。

ニキビは、突然「赤いできもの」ができる病気ではありません。
その始まりは、毛穴の中で起こっています。

ニキビができるメカニズム。正常な毛穴から毛穴の詰まり、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビ、ニキビ跡へ進む過程
ニキビができて炎症を起こし、ニキビ跡に至るまでのイメージ

ニキビの始まりは、毛穴の出口が詰まることです。

皮脂の分泌が増えたり、毛穴の出口で角化が乱れたりすると、 皮脂が毛穴の外へ排出されにくくなります。 こうして皮脂が毛穴の中にたまった状態が、 ニキビの初期段階である面皰(コメド)です。

毛穴が閉じていれば白ニキビ(閉鎖面皰)、 毛穴が開いて内容物が空気に触れると黒ニキビ(開放面皰)として見えるようになります。

さらに毛穴の中でアクネ菌などが関与して炎症が起こると、 赤く腫れた炎症性ニキビへ。 炎症が強くなると膿を伴うこともあります。

THE KEY POINT

ニキビの始まりは毛穴のつまりから。

目に見える炎症だけではなく「毛穴が詰まる段階から治療する」ことが、ニキビ治療の大切な考え方です。

だからこそ、日本でも海外でも、面皰を改善する治療と炎症を抑える治療を 組み合わせて考えます。

では、このニキビに対して、
日本ではどのような治療が行われているのでしょうか。

日本・アメリカ・イギリス・韓国のニキビ標準治療を比較した図

03 / JAPAN

まず、日本のニキビ標準治療から。

日本のニキビ治療は、 「赤いニキビを抗菌薬で治す」だけではありません。 現在は、ニキビの始まりである面皰から治療し、 炎症が落ち着いたあとも再発を防ぐことが重視されています。

01

COMEDONAL ACNE

 白ニキビ・黒ニキビ毛穴の詰まりを治療する

ADAPALENE

アダパレン 0.1%

代表例:ディフェリン®ゲル

毛包上皮の角化を正常化し、 毛穴が詰まって面皰が形成されるのを抑える薬です。 すでにある面皰を改善するとともに、 新しいニキビの予防にもつながります。

ガイドライン推奨度 A

BENZOYL PEROXIDE

過酸化ベンゾイル 2.5%

代表例:ベピオ®

毛穴の詰まりを改善する作用に加えて、 アクネ菌に対する抗菌作用を持つ薬です。 抗菌薬とは異なる仕組みで作用するため、 抗菌薬耐性の問題が起こりにくいことも特徴です。

ガイドライン推奨度 A

ADAPALENE + BPO

アダパレン + 過酸化ベンゾイル

代表例:エピデュオ®ゲル

毛穴の詰まりに働くアダパレンと、 面皰・アクネ菌の両方に作用するBPOを組み合わせた配合剤です。 それぞれ異なる機序で作用するため、 面皰に対してより強い効果が期待できます。

一方で、乾燥・赤み・刺激感などの皮膚刺激症状が 単剤より出やすくなることがあります。

ガイドライン推奨度 A
02

INFLAMMATORY ACNE

 赤ニキビ・黄ニキビ炎症を抑える

CLINDAMYCIN + BPO

 クリンダマイシン + BPO

代表例:デュアック®配合ゲル

抗菌薬であるクリンダマイシンと BPOを組み合わせた外用薬です。 炎症性皮疹と面皰が混在している時期に使用されます。

炎症が落ち着いた後の維持療法として 長期間使用する薬ではありません。

TOPICAL ANTIBIOTICS

外用抗菌薬

クリンダマイシン・ナジフロキサシン・オゼノキサシン など

炎症性ニキビに対して使用される抗菌薬です。 主にアクネ菌などへの抗菌作用によって 炎症を抑えます。

耐性菌の問題や角化の治療にはならないため、外用抗菌薬単剤での使用は推奨されておらず

ORAL ANTIBIOTICS

 内服抗菌薬

ドキシサイクリン・ミノサイクリン など

炎症性皮疹が多い場合や、 外用治療だけでは十分に抑えられない場合には、 内服抗菌薬を組み合わせることがあります。

抗菌薬は炎症を抑えるための治療であり、 毛穴の詰まりそのものを治す薬ではありません。 そのため、アダパレンやBPOなどを併用しながら治療します。

03

MAINTENANCE

 炎症がおさまったあと再発を防ぐ

赤ニキビや膿を伴うニキビが改善したあとも、 毛穴が詰まりやすい状態そのものが 完全になくなったとは限りません。

そのため日本の標準治療では、 抗菌薬を終了し、 アダパレンやBPOなどによる維持療法へ 移行することが推奨されています。

JAPANESE STANDARD

つまりを改善し、炎症を抑え、再発を防ぐ。

ここまでが、日本の標準治療として保険診療で提供されるニキビ治療です。
日本のニキビ治療も、かつての「抗菌薬だけで治す」という考え方から、面皰治療を中心にした長期的なコントロールへ 大きく変わってはいます。
しかし、一方で皮脂が多すぎる例や角化異常が強い症例ではなかなか標準治療では完治しにくいこともしばしばあります。

日本・アメリカ・イギリス・韓国のニキビ標準治療を比較した図

04 / UNITED STATES

アメリカでは、難治への選択肢が広い。

アメリカ皮膚科学会(AAD)の2024年ガイドラインでも、 ニキビ治療の基本は外用レチノイドやBPOです。 ここまでは、日本と大きく変わりません。

違いが見えてくるのは、 標準的な治療だけでは十分に改善しない場合や、 ホルモンの影響が考えられる場合、 重症ニキビを治療するときです。

01

TOPICAL FOUNDATION

 外用治療:日本と近似

TOPICAL RETINOIDS

外用レチノイド

adapalene / tretinoin / tazarotene / trifarotene

毛穴の詰まりを改善し、 面皰の形成を抑えるニキビ治療の中心的な薬です。 AADでは外用レチノイドが強く推奨されています。

BENZOYL PEROXIDE

過酸化ベンゾイル(BPO)

アクネ菌に作用すると同時に、 毛穴の詰まりにも働きます。 アメリカでもニキビ治療の中心となる外用薬です。

AZELAIC ACID

アゼライン酸

面皰や炎症に対して使用される外用薬です。 ニキビが改善したあとに残る色素沈着への作用も期待されます。

CONDITIONAL RECOMMENDATION

CLASCOTERONE

クラスコテロン

Brand example:Winlevi®

アンドロゲン受容体に作用する外用薬です。 皮脂腺に対するアンドロゲン作用を局所的に抑えることで、 ニキビを治療します。

CONDITIONAL RECOMMENDATION
02

INFLAMMATORY ACNE

 炎症が強ければ抗菌薬を追加する。

DOXYCYCLINE

ドキシサイクリン

中等症から重症の炎症性ニキビでは、 経口抗菌薬が使用されます。 AADではドキシサイクリンが強く推奨されています。

MINOCYCLINE / SARECYCLINE

ミノサイクリン・サレサイクリン

これらも炎症性ニキビに対する 経口抗菌薬の選択肢です。

CONDITIONAL RECOMMENDATION

ANTIBIOTIC STEWARDSHIP

03

HORMONAL THERAPY

 女性のニキビではホルモン治療も。

SPIRONOLACTONE

スピロノラクトン

抗アンドロゲン作用を利用して、 女性のニキビ治療に使用される薬です。 特に顎やフェイスラインなどに繰り返す、 ホルモンの影響が考えられるニキビで 選択肢になることがあります。

CONDITIONAL RECOMMENDATION

COMBINED ORAL CONTRACEPTIVES

低用量ピル・経口避妊薬

エストロゲンとプロゲスチンを含む combined oral contraceptivesも、 女性のニキビ治療の選択肢として AADガイドラインに含まれています。

CONDITIONAL RECOMMENDATION
04

SEVERE / REFRACTORY ACNE

 重症・難治性ニキビでは、イソトレチノイン。

ORAL ISOTRETINOIN

イソトレチノイン

皮脂腺、角化、炎症など、 ニキビの発生に関わる複数の要素に作用する 経口レチノイドです。

AADでは、 重症ニキビ、瘢痕形成や心理社会的負担を伴うニキビ、 または通常の外用・内服治療で十分に改善しない場合 に、イソトレチノインを強く推奨しています。

イソトレチノインには催奇形性をはじめ重要な注意点があり、 妊娠可能な方では厳格な妊娠予防・管理が必要です。

JAPAN vs UNITED STATES

基本は似ているが、 違うのは、
難治例での次の一手。

日本とアメリカで、 外用レチノイドやBPOを中心とする基本治療に 大きな違いがあるわけではありません。

一方、アメリカでは ホルモン治療やイソトレチノインまで含めて、 標準的な治療選択肢がより広く示されています。 日本の現在の標準治療では、ホルモンが関与していそうな難治例やとにかく皮脂が多い症例など標準治療で対応できる幅が狭いように感じます。
標準治療で結果が出にくい方は、個人輸入に頼ることもあり、これも医療的問題の一つであると考えます。

日本・アメリカ・イギリス・韓国のニキビ標準治療を比較した図

05 / UNITED KINGDOM

イギリスは、12週間で治療を組み立てる。

イギリスのNICEガイドラインでは、 ニキビの重症度に応じて治療を選び、 まず12週間の治療を行って評価する という流れが明確に示されています。

使用される薬そのものは日本やアメリカと共通するものも多い一方、 「いつ評価し、効かなければどう次へ進むか」が かなり整理されています。

FIRST 12 WEEKS

12 WEEKS

まず12週間治療して、その反応を見る。

治療開始直後に次々と薬を変えるのではなく、 一定期間治療を続けたうえで、 改善度や副作用を評価します。

01

MILD TO MODERATE

 軽症〜中等症:まずは外用薬を

ADAPALENE + BPO

アダパレン + BPO

毛穴の詰まりに作用するアダパレンと、 BPOを組み合わせた治療です。 NICEではニキビの重症度を問わず 初期治療の選択肢として挙げられています。

TRETINOIN + CLINDAMYCIN

トレチノイン + クリンダマイシン

外用レチノイドと抗菌薬を組み合わせた配合剤も 初期治療の選択肢です。

BPO + CLINDAMYCIN

BPO + クリンダマイシン

軽症から中等症のニキビでは、 BPOと外用抗菌薬を組み合わせた治療も 選択肢になります。

02

MODERATE TO SEVERE

 中等症〜重症:外用薬 + 内服抗菌薬

ADAPALENE + BPO
+ ORAL ANTIBIOTIC

アダパレン + BPO + ドキシサイクリン等

中等症から重症では、 外用治療に経口抗菌薬を組み合わせる方法が 初期治療の選択肢になります。

AZELAIC ACID
+ ORAL ANTIBIOTIC

アゼライン酸 + ドキシサイクリン等

アゼライン酸と経口抗菌薬を 組み合わせる治療も示されています。

ANTIBIOTIC RULE

    抗菌薬は「とりあえず長く飲む薬」ではない。

×

外用抗菌薬だけ

×

内服抗菌薬だけ

×

外用抗菌薬+内服抗菌薬

NICEでは抗菌薬耐性を考慮し、 抗菌薬単独での治療を避けることが明確に示されています。 また、抗菌薬を含む治療を6か月以上続けるのは 例外的な場合に限るとされています。

03

REVIEW AT 12 WEEKS

  12週間後に次の治療へ

IMPROVED

改善している

抗菌薬を使用している場合は終了を検討し、 必要に応じて外用治療を継続します。

OR
NOT IMPROVED

十分に改善していない

重症度やこれまで使用した薬を確認し、 別の12週間治療や専門医への紹介を検討します。

04

SEVERE / RESISTANT ACNE

 重症例にはイソトレチノイン

ORAL ISOTRETINOIN

イソトレチノイン

十分な外用治療と内服抗菌薬を含む標準治療を行っても 改善しない重症ニキビでは、 経口イソトレチノインが検討されます。

NICEでは、結節嚢腫性ざ瘡などの重症例や、 永久的な瘢痕を残すリスクがあるニキビ などが対象として挙げられています。

STANDARD DAILY DOSE(一日投与量) 0.5–1 mg/kg/day
USUAL CUMULATIVE DOSE(累積投与量) 120–150 mg/kg

副作用リスクなどに応じて0.5 mg/kg/day未満の 低用量を検討することもあります。 また、十分な改善が得られ、新しい皮疹が4〜8週間みられない場合には、 累積量に達する前に終了することも検討されます。

05

MAINTENANCE

 繰り返す人には維持療法まで

再発を繰り返す場合には、 アダパレン+BPOによる 維持療法が検討されます。

それが使用できない場合には、 アダパレン、アゼライン酸、BPOの単剤も 選択肢になります。

THE UK APPROACH

治療する。
12週間で評価する。
効かなければ、次へ進む。

イギリスの特徴は、 特別な薬を使うことよりも、 治療の評価とステップアップのタイミングが明確に決められていることにあります。
これは大変画期的なことで、本邦では患者様の希望であったり、当番制診療であった場合などでは、効果がいまいちであるにもかかわらず漫然と同じ治療を続けているケースをしばしば見かけます。
ガイドラインが「治療が当たっていれば結果が出るべき期間」と「方針を転換すべきリミット」を明言しているため、医師にとっても方針変更の根拠をあげやすく大変メリットの多い論点だと考えます。

日本・アメリカ・イギリス・韓国のニキビ標準治療を比較した図

06 / KOREA

韓国のニキビ治療の実際

韓国でも、ニキビ治療の中心は薬物療法です。 毛穴の詰まりには外用レチノイドやBPO、 炎症性ニキビには抗菌薬、 重症例ではイソトレチノインなどが使用されています。

一方、美容医療の領域まで視野を広げると、 ニキビそのものだけではなく、 赤み・色素沈着・毛穴・ニキビ跡まで含めた治療研究が多い ことも韓国の特徴です。

A NOTE ON KOREAN EVIDENCE

日本・アメリカ・イギリスについては、 公開されている包括的な診療ガイドラインを中心に紹介しました。

韓国について今回確認できた2024年の韓国ニキビ・酒皶学会 (Korean Acne and Rosacea Society:KARS)の報告は、 体幹部ニキビについての専門家コンセンサスです。

ここでは韓国で使用されている治療薬と、 KARSの専門家調査、韓国から報告されている臨床研究をもとに紹介します。

01

PHARMACOLOGICAL TREATMENT

  韓国でも基本は、状態に合わせた薬物療法

韓国でも、ニキビの治療は 「どの薬が一番強いか」ではなく、 面皰なのか、炎症性皮疹なのか、 重症・難治性なのかによって選択されます。

韓国の専門家コンセンサスでは、 外用レチノイド、BPO、外用・内服抗菌薬、 アゼライン酸、イソトレチノイン、 スピロノラクトンなどが 使用される薬剤として挙げられています。

COMEDONAL ACNE

 毛穴の詰まりを治療する

TOPICAL RETINOIDS

外用レチノイド

毛包上皮の角化を整え、 毛穴の詰まりや面皰形成を抑える治療です。

韓国の専門家調査でも、 非炎症性の体幹部ニキビに対して 最も多く選択された治療が外用レチノイドでした。

BENZOYL PEROXIDE

過酸化ベンゾイル(BPO)

面皰の改善作用と抗菌作用を持つ外用薬です。 韓国でもニキビ治療薬として使用されています。

抗菌薬とは異なる作用機序を持つため、 抗菌薬耐性を考えるうえでも重要な治療選択肢です。

AZELAIC ACID

アゼライン酸

毛穴の角化や炎症に作用する外用薬です。 韓国でも使用可能なニキビ治療薬のひとつとして 挙げられています。

ニキビそのものだけでなく、 炎症後色素沈着が問題になる場合にも 選択されることがあります。

INFLAMMATORY ACNE

赤ニキビ・黄ニキビ。炎症の程度で抗菌薬も使う

TOPICAL ANTIBIOTICS

外用抗菌薬

clindamycin / nadifloxacin など

炎症性ニキビに対して、 外用抗菌薬が使用されます。

韓国ではクリンダマイシンや ナジフロキサシンなどが 外用治療の選択肢として挙げられています。

ORAL ANTIBIOTICS

内服抗菌薬

doxycycline / minocycline など

炎症性皮疹が多い場合や、 外用治療だけでは十分にコントロールできない場合には、 内服抗菌薬が使用されます。

特に体幹部など広い範囲に炎症性ニキビがある場合には、 内服治療が選択されやすい傾向が示されています。

SYSTEMIC OPTIONS

重症・難治性:繰り返すニキビには内服治療も

ORAL ISOTRETINOIN

イソトレチノイン

韓国では、 イソトレチノインもニキビに対する 内服治療の選択肢として使用されています。

特に中等症から重症、 広範囲に及ぶニキビでは、 外用治療だけではコントロールが難しいため、 内服抗菌薬とともに重要な選択肢となります。

イソトレチノインには催奇形性をはじめ 重要な注意点があり、 適切な管理のもとで使用する必要があります。

SPIRONOLACTONE

スピロノラクトン

抗アンドロゲン作用を利用する内服治療です。 韓国でもニキビ治療に使用される薬剤のひとつとして 挙げられています。

特に成人女性など、 ホルモンの影響が考えられるニキビでは 選択肢になることがあります。

ただし、韓国の包括的なニキビガイドラインにおいて 標準治療として強く推奨されている、 という意味ではありません。

02

KOREAN EXPERT CONSENSUS

 背中や胸のニキビでは、内服治療も

2024年、韓国ニキビ・酒皶学会の専門家パネルは、 36名の皮膚科医を対象として 体幹部ニキビの治療についてコンセンサスをまとめました。

背中や胸は範囲が広いうえ、 自分では外用薬を塗りにくいため、 顔のニキビとは少し治療事情が異なります。

NON-INFLAMMATORY

78.1%

外用レチノイド

非炎症性の体幹部ニキビで 最も多く選ばれた治療。

INFLAMMATORY

93.8%

内服抗菌薬

炎症性の体幹部ニキビで 最も多く選ばれた治療。

MODERATE TO SEVERE

94.4%

内服治療を支持

中等症〜重症では、 内服抗菌薬やイソトレチノインを含む 内服治療を支持。

WHAT THE NUMBERS TELL US

面皰ならレチノイド。
炎症が強ければ抗菌薬。
広範囲・重症なら内服治療まで。

韓国の専門家コンセンサスから見える治療方針も、 ニキビの病態と重症度に応じて 治療をステップアップするという点では 日本・アメリカ・イギリスと共通しています。

03

ISOTRETINOIN IN KOREA

 日本との大きな違いは、イソトレチノインの立ち位置

ORAL ISOTRETINOIN

韓国では、イソトレチノインが 治療選択肢として自然に登場する。

非炎症性体幹部ニキビ 68.8%

専門家がイソトレチノインを 治療選択肢として回答。

炎症性体幹部ニキビ 71.9%

専門家がイソトレチノインを 治療選択肢として回答。

これは「韓国ではすぐにイソトレチノインを使う」 という意味ではありません。 ただ、日本の標準診療ガイドラインには 未承認薬であるイソトレチノインが組み込まれていないのに対し、 韓国では実臨床上の治療選択肢として より自然に位置づけられていることがうかがえます。

04

DEVICES & PROCEDURES

  薬物療法の先は機器治療の研究も

韓国からは、 レーザーやRFなどを利用した ニキビ・ニキビ跡治療についても 多くの臨床研究が報告されています。

特に美容医療の領域では、 活動性ニキビだけではなく、 炎症後の赤み・色素沈着・毛穴・萎縮性瘢痕まで 治療対象を広げて考える 研究がみられます。

MICRONEEDLE RF

マイクロニードルRF

炎症性ニキビやニキビ跡を対象として、 韓国人患者で検討した臨床研究があります。

FRACTIONAL LASER

フラクショナルレーザー

萎縮性ニキビ跡などに対して、 フラクショナルレーザーを用いた研究が 数多く報告されています。

COMBINATION THERAPY

複合治療

RFとレーザーなど、 異なる作用を持つ治療を組み合わせた 臨床研究も行われています。

IMPORTANT

「研究されている」ことと、
「標準治療である」ことは違います。

韓国でレーザーやRFの研究が多いからといって、 これらが薬物療法に代わる ニキビの第一選択治療という意味ではありません。

活動性ニキビの治療では、 まず面皰や炎症を薬物療法でコントロールする。

そのうえで、 ニキビ跡・赤み・色素沈着・毛穴など 「ニキビが残した変化」に対して、 機器治療を組み合わせるという整理が重要です。

THE KOREAN PERSPECTIVE

薬でニキビを治す。そのあとに残る変化まで、治療する。

韓国でも、 ニキビ治療の土台は外用レチノイド、BPO、 抗菌薬、イソトレチノインなどの薬物療法です。

一方、美容医療の研究まで視野を広げると、 炎症後紅斑・色素沈着・毛穴・ニキビ跡まで 治療対象を広げて考える という側面が見えてきます。

07 / COMPARISON

4か国を比べると違いが見えてきます。

日本、アメリカ、イギリス、韓国。 ここまで見てきた治療を並べると、 ニキビ治療の基本そのものには 大きな違いがないことが分かります。

違いが現れるのは、 標準的な外用治療で十分に改善しないとき、 その「次」に何を持っているか。

TREATMENT JAPAN 日本 UNITED STATES アメリカ UNITED KINGDOM イギリス KOREA 韓国
COMEDONAL 外用レチノイド
BENZOYL PEROXIDE BPO
ANTIBIOTICS 抗菌薬
AZELAIC ACID アゼライン酸 選択肢
ISOTRETINOIN イソトレチノイン 国内未承認
標準治療外
重症・難治例 重症・難治例 治療選択肢
HORMONAL ホルモン治療 標準治療の
中心ではない
スピロノラクトン
経口避妊薬など
一部で検討 スピロノラクトン
など
MAINTENANCE 維持療法 病態に応じて継続

※各国での承認状況・推奨度・使用条件は異なります。 「●」は同じ推奨度を意味するものではなく、 各国のガイドラインや今回参照した文献で 治療選択肢として確認できることを示しています。

JAPAN

日本

外用レチノイド
BPO
抗菌薬
アゼライン酸
選択肢
イソトレチノイン
国内未承認・標準治療外
ホルモン治療
標準治療の中心ではない
UNITED STATES

アメリカ

外用レチノイド
BPO
抗菌薬
アゼライン酸
イソトレチノイン
重症・難治例
ホルモン治療
スピロノラクトン
経口避妊薬など
UNITED KINGDOM

イギリス

外用レチノイド
BPO
抗菌薬
アゼライン酸
イソトレチノイン
重症・難治例
治療の特徴
12週間で評価
KOREA

韓国

外用レチノイド
BPO
抗菌薬
アゼライン酸
イソトレチノイン
治療選択肢
その後の治療
瘢痕・色素・毛穴への
機器研究も多い

WHAT THEY HAVE IN COMMON

    世界のコンセンサスは「赤ニキビだけを治療しない」

01

毛穴の詰まりを治す

02

必要なら炎症を抑える

03

重症度に応じて治療を強める

04

再発を防ぐ

日本だけでなく、 アメリカやイギリス、韓国の治療を見ても、 ニキビが赤く腫れてから抗菌薬で治すだけではありません。

面皰の段階から治療し、 炎症を必要以上に長引かせず、 改善したあとも再発を防ぐ。 ここは4か国に共通して見えてくる考え方です。

WHERE THE DIFFERENCE BEGINS

違いは「難治例の扱い」

日本では、 アダパレンやBPO、抗菌薬を中心とした治療体系が 標準診療として整備されています。

一方、アメリカでは スピロノラクトンや経口避妊薬、 さらに局所アンドロゲン受容体阻害薬である クラスコテロンなど、 ホルモン・アンドロゲンを標的とした選択肢があります。

また、アメリカやイギリスでは 重症・難治性ニキビに対する イソトレチノインの位置づけが ガイドライン上も明確です。

韓国でもイソトレチノインは 実臨床上の治療選択肢として登場し、 さらにニキビ跡や色素沈着などに対する 機器治療の研究も多く報告されています。

THE WORLD STANDARD IS NOT ONE DRUG.

  どの段階を治療しているのかが大切

国によって使える薬や治療の位置づけは違っても、 ニキビの状態を見て治療を選び、 必要なら次の治療へ進み、 改善後は再発を防ぐ。 その基本的な考え方には、多くの共通点があります。

08 / CLINICAL PERSPECTIVE

各国の治療比較を考察

今回、各国のニキビ治療を調べて改めて感じたのは、 実際の診療で問題になるのは標準治療では十分に改善しない難治例・重症例を どう治療するかという点です。

日本は標準治療からこぼれた時が難しい

日本では、標準治療で十分に改善しない場合、 自費診療でイソトレチノインが選択されることがあります。

イソトレチノインは非常に有用な治療選択肢ですが、 乾燥などの副作用によって 継続が難しい方もいます。 また、治療終了後に再発する例もあります。

THE GAP

標準治療では足りないが、イソトレチノインを使うほどではない。

実際の診療では、この「間」にいる患者さんがいます。

BETWEEN THE TWO

この「間」を埋める治療が、
もう少しあってもよいのではないか。

私が日々の診療で特に悩ましく感じるのが、 「イソトレチノインを使用するほど重症ではない。 しかし、日本の標準治療だけでは十分に改善しない」 という患者さんです。

日本のニキビ治療には、 標準的な外用治療とイソトレチノインの 「間」を埋める選択肢が、 もう少しあってもよいのではないかと感じています。

HORMONAL / ANDROGEN TARGET

 ホルモン依存を疑うケースへの治療

SYSTEMIC

スピロノラクトン

スピロノラクトンは、 特に成人女性のニキビでは 有用な選択肢になり得ます。

一方で、月経異常などの副作用が問題になることがあり、 患者さんによっては 治療を続けにくい場合があります。

TOPICAL

クラスコテロン

今回アメリカの治療を調べる中で、 私が特に興味を持ったのが、 外用アンドロゲン受容体阻害薬 「クラスコテロン」 でした。

全身に作用する内服薬ではなく、 皮膚局所でアンドロゲン受容体を阻害する という治療です。

WHY IT’S INTERESTING

違う方向から治療する大切さ

クラスコテロンは、 現時点で万能なニキビ治療薬というわけではありません。 また、日本では一般的に使用できる治療ではありません。

それでも、 標準的な外用治療と全身治療の間を埋める、 新しい治療の方向性 として、非常に興味深いと感じました。

MY PERSPECTIVE

ニキビ治療に必要なのは、
「もっと強い薬」だけではない。

異なる作用点を持つ選択肢が増えること。

標準治療で改善する方もいれば、 イソトレチノインが必要な方もいます。 そのどちらにも当てはまらない患者さんもいます。

一人ひとりのニキビの状態に合わせて、 異なる作用機序を持つ治療から選べることが、 これからのニキビ治療では さらに重要になるのではないかと考えています。

ACNE TREATMENT / AN CLINIC

ニキビ治療は、
一つではありません。

白ニキビなのか、炎症を繰り返しているのか。
標準治療で改善しないのか、
すでにニキビ跡が問題になっているのか。

an clinicでは、現在のニキビの状態と これまでに行ってきた治療を確認したうえで、 必要な治療を一緒に考えます。

ACTIVE ACNE 今あるニキビ

外用薬・内服薬など、
病態に合わせた治療を検討します。

AFTER ACNE ニキビが治ったあと

赤み・色素沈着など、
残った変化を評価します。

ACNE SCARS ニキビ跡・クレーター

状態に応じて、モフィウス8や
サブシジョンなどを検討します。

START WITH DIAGNOSIS

「何をするか」の前に、
今、何を治療するべきか。

治療の適応は、診察のうえで判断します。 ご希望の治療が必ずしも適しているとは限りません。